患者の方へ
一覧はこちらCAEBVについて
慢性活動性EBウイルス病(CAEBV)の典型的な症状は発熱です。倦怠感や、首のリンパ節の腫れを伴うことがあります。病院で血液検査をすると肝障害に気づかれることもあります。これらは日常にもよくありますが、それが3か月以上持続または反復し、診断がつかなければ、その中でまれに見つかる病気としてCAEBVを疑います。EBウイルスは本来、白血球の一種であるBリンパ球に感染し、身体内におとなしく潜み続けるウイルスです。しかしまれに、Tリンパ球やNKリンパ球(T/NKリンパ球)に感染することがあります。EBウイルスに感染したT/NKリンパ球が血液やリンパ組織の中で次第に増殖し、発熱などの全身症状や、肝障害などの局所症状を起こすのがCAEBVです。日本では年間数十人、小児・成人から高齢者に至るまで発症します。
EBウイルスに感染したT/NKリンパ球は身体のさまざまな部位に浸潤し、組織障害・臓器障害を起こします。典型的には肝浸潤による肝障害(肝炎)ですが、肝脾腫、消化管潰瘍(粘膜浸潤)、冠動脈瘤(動脈壁浸潤)も見られます。その他、心臓弁膜症、肺高血圧、ぶどう膜炎などが知られています。皮膚浸潤では、日光・紫外線によって惹起される全身型種痘様水疱症(種痘様水疱症様リンパ増殖症)、蚊刺に惹起される重症蚊刺アレルギーを認めます。いきなり血球貪食症候群(血球貪食性リンパ組織球症)で発症してくることもあります。
CAEBVは自然治癒することがありません。ステロイドで症状は一時的によくなりますが、病気は進行します。根治療法である化学療法(抗がん剤による治療)や同種造血幹細胞移植を行わなければ5年で約半数が、10〜15年でほとんどが死に至ります。成人期以降では進行が約2倍速いとも言われています。血球貪食症候群による多臓器不全や、サイトカインストーム症候群によるショックでは急変して治療が奏功しません。肝不全や心不全は不可逆性であり、致死的な臓器不全の典型です。悪性度が増せば、悪性リンパ腫や白血病と診断されるに至ります。これらは三大死因とされています。安全な根治のため、CAEBVと診断されたら、計画的な治療をすみやかに開始することが望まれます。