Q&Aコーナー
一覧はこちら治療:移植の成功率はどのくらい?再発はある?
現在行われている治療について
慢性活動性EBV病(CAEBV)に対する標準的な治療法は確立されていません。発熱、肝障害をはじめとする全身的な症状が認められる場合には、ステロイドホルモン・カルシニューリン阻害剤・エトポシドといった免疫を抑制する薬剤で治療されますが、一部の症例ではリンパ節腫脹など悪性リンパ腫に類似した症状を合併するため悪性リンパ腫に対して行われるような化学療法を行われることもあります。それらの治療で一時的な症状の改善は期待できるものの長期間病勢のコントロールは難しいと考えられています。
これまでの調査でも免疫抑制療法や化学療法だけでは長期生存は望めず、同種造血幹細胞移植*を行った症例でのみ長期生存が可能でした。そのため現状根治が期待できる治療は同種造血幹細胞移植ということになります。ただし、移植前の病勢が悪い症例では同種造血幹細胞移植を行っても十分な効果が得られないことから、移植の前に免疫抑制療法や化学療法などで病勢をコントロールしておくことも重要なポイントとなります。
同種造血幹細胞移植は危険を伴う治療でかつGVHDという長期にわたる副作用を合併することがあるため、移植を行うタイミングについては担当医とよく相談して決める必要があります。
*:造血幹細胞移植には自分の幹細胞を移植する自家移植と自分以外の造血幹細胞を移植する同種移植があります。同種移植の場合には骨髄、末梢血内の幹細胞のほかに臍帯血を用いる場合もあります。
移植の成功率はどのくらい?再発はある?
日本における同種造血幹細胞移植の報告では、移植後3年の生存率は72.5%で小児症例(15歳未満)でやや予後が良い傾向がありました。その中でも移植後に完全奏功(CR)が得られた症例では3年生存率が91.8%と非常に良好な治療成績でした。移植の成績を左右するのは移植直前の病勢で、移植前の病勢が落ち着いている症例では移植後の合併症や増悪は少ない一方で、病勢がわるいまま移植した症例では移植後の生存率は50%程度とされています。移植後に亡くなる方の多くがCAEBVの増悪に伴うもので、それも移植後半年以内とかなり早期に増悪するとされています。